木の住まいをデザインする建築設計事務所

設計を依頼される方へ

木の住まいへのこだわり

「なぜ木の住まいにこだわるのか」と聞かれれば答えは簡単です。
日本は世界でも有数の森林国です。
そして材料があるとそれを加工する優れた棟梁大工がいます。
しかし、今の住まいは工業化住宅が大半です。
既製品の組み合わせで創ることは、住まい手に住まい方の枠を制限しているようなものだと私は考えています。

個々の住まい方を見、聞き、感じ、それらに合う住まいを提供するのがMs流です。

つまりはMsの住まいはすべてオーダーメイドなのです。
その場所、その家族のための心地よい住まいを創ります。

デザインの心地よさ

室内環境の心地よさ

安心できる構造体の心地よさ

地域の木を利用した心地よさ

大工職の手技の心地よさ

住まいにかかわる全てのここちよさをデザインしています。
もちろん、工業化を全て否定しているのではありません。
現代の住まいに必要なペアガラス、断熱材、設備は使用します。
建築素材は日本の各地のを使用して自然素材の豊かな住まいを創ります。
そしてそれを加工してくれる建築職人と共に造り上げる、それがMsの設計術です。



Msの木のグレード

Msで使用する国産材のほとんどが80年以上の赤味の杉です。
樹齢の深い、くさりにくく強度のある〝赤杉〟しか使いません。

しかし、住まい手に「それってとても高価な材料でないの?!」と、よく聞かれます。それは違います。

1975年当時の杉の単価より1/2以下に下がっています。
当時の物価からみても今はとても安いのです。
安すぎて林業家が困っているくらいです。

世間は「国産材は高い」という、間違ったイメージを与えています。
私はいつも住まい手に質問します。
―延床面積40坪で総工事費3,000万円の住宅で構造材である土台、柱、梁の価格はいくらだと思いますか、と。
ほとんどの方は外れます。中には1,000万円と言った方もいます。
正解は200万円です.1800㏄の車1台と同じ価格です。
構造体にかかる費用は、総工事費のたった6%程度なのです。
本当に本当です!

しかし事務所開設時の25年前に木の住まいを国産材でつくることは、とても苦痛が伴う仕事でした。
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強度も不揃い、産地も少ない。
コストもその時にならなければわからない。
まるで寿司屋のカウンターでにぎりを頼むがごとく。
そこに座るだけでドキドキの注文であった。
(「心地いい木の家傑作選」より一部抜粋)
――――――――――
そんな思いではじめた25年前。
そこから私の山との歩みが始まりました。

かつて木材の品質管理の役割を果たしていた木材業者が単なる流通業者になり、信頼できる材料を入手することが困難になったのは言うまでもありません。
当時、木の住まいをつくる上で必要不可欠な〝乾燥材〟は既存の流通の外にあったのです。

山に出向き、林業家から直接木材を購入することは、好きで始めたことではなく必要にせまられて始めたことなのです。

それから約25年経ち、いい山があると聞けば日本どこでも出向いてきた結果Msの木材ネットワークが確立しているのです。

今ではすっかり山に出向くことがむしろ楽しみの一つですが、もちろん、私は林業家ではありません。

材を供給する山側の人と、木の住まいを望む一般の住まい手の橋渡しになりたいという想いで、国産材の家づくりを続けています。



Ms事務所について

1985年にMs(エムズ)建築設計事務所を大阪の吹田市で開設しました。
(Ms事務所の変遷:「住む。No.37」)

事務所は千里ニュータウンの中にある、自宅の隣にあり職住近接の生活を送っています。
街区の角にあり、緑いっぱいのポケットパークのような景観です。
当時では珍しい、節いっぱいの吉野杉の住まいを創りました。

内外とも柱・梁が化粧(仕上げ材)でよく見えます。
アルミサッシの建具はお風呂場の1ヶ所だけで、他は全て木製建具を入れています。
とても美しいですが、冬場はとても寒いです。

断熱材もペアガラスもない25年前の私の住まいからこれまで330軒ほど創ってきて、今は耐震性・温熱環境・気密性がとても向上しました。
しかし
デザインコンセプトは25年前も今も一緒です。



〝ないもの〟は自ら創る

1995年阪神淡路大震災を経験しました。
地震直後に現場へ行き、自然の力を前に1階部分が完全に2階に押しつぶされているものや筋交いが折れて斜めになった住宅など木造住宅の現実を目の当たりにしました。

1985年の事務所開設以来、国産材の住まいつくりを続けてきた私たちにとって、さらに安心できる木の住まいを考えるきっかけになりました。

杉パネルを製作する会社と共同開発し、日本初の杉構造パネルが誕生したのです。

それこそが杉三層パネル「Jパネル」です。
このJパネルこそがMsには欠かせないものなのです。
というのも、このJパネルは下地で使用されるベニヤとは違って、そのまま仕上げ材としても利用でき、まさに一石四鳥(構造、遮断、防音、仕上げ)!
壁・床・天井・造作まで使用範囲は広いのが特徴です。
必要なものは自ら創る、これがMsのスタンスです。

Jパネルの他に、Msの住まいに欠かせないものがもう一つあります。

構造材が見えない大壁造り(柱・梁などの構造材が壁の中に納まり、室内側から見えてこない方法)の住まいでは、柱と横架材の接合部には「羽子板ボルト」を用いるのが一般的ですが、Msのように真壁造り(構造材が室内側から見える方法)の場合には金物がそのまま見えてくることになります。
心地よい木の住まいの中で無粋に金物を使用することも、木部だけ見せたいからといって金物を使用しないこともできません。

そこで活躍するのが緊結金物の「Dボルト」です。
Dボルトによる緊結には、小さな断面欠損でありながら大きな耐力があり(羽子板ボルトの2.5倍の強度です!)や金物が目立たない(まるで構造材の節のような印象なのです)といった利点がたくさんあります。
もちろん安価なものではありませんが、
必要な所に適切なコストをかけることが重要なのです。



現場での監理・業務

 

Ms事務所の1日の作業開始は一般の設計事務所の中では特別に早い方だと思います。 朝8時にはスタッフが揃っています。
所長三澤は朝4時には起きて仕事をしています。

設計事務所であるMsとは別に、木材販売業務を行う有限会社MOK(モク)という会社を設立しています。

木の住まいの中でもっとも神経を注いでいるのが木材の吟味、そして大工職のグレードです。
それゆえMOKを経営することで直営工事に近い仕事内容が可能になるのです。

住まいの構造材から枠材、そして障子の桟までMs(MOK)は山側に注文しているのです。
現場における施工図のほとんどは、工務店が作成するのが一般的な中、これもMsで作成しています。

設計図面があるのにどうして施工図面が必要なの?
という質問がありそうですね。
それは「物」を創る現場で、作り方を分かりやすく図面化したものが常に現場ではいるからです。
それをベースに大工職とここからビスを打つとか、天板を先に作ってからとか、設計者も現場でものづくりの立場に立って指示図面(施工図)をかくことがとても重要なのです。

そして1週間に1度住まい手に現場の進行状況を含めた報告書を必ず提出しています。

自然素材の木の住まいは、自然素材だけを使用すれば必ず心地よい住まいになるわけではありません。
水面下の各方面の努力が実りを確実にするのです。



2011年7月
Ms建築設計事務所 三澤 康彦