MOKスクール:秋の岐阜ツアー(1日目)

紅葉の美しい11月下旬。MOKスクール秋のツアーで岐阜県を訪れました。

岐阜県というと東濃地域のヒノキを思い浮かべる方も多いかと思いますが、今回はスギの名産地である中濃地域:長良川流域への旅です。

総勢28名。製材所から最新木造建築まで幅広い取り組みを見て回りました。

DSC01181

初めに訪れたのは可児市にある(株)小林三之助商店です。創業明治41年の老舗中の老舗です。

ここでは創業以来、鉄道用の枕木(まくらぎ)が主力製品です。コンクリート製に置き替える同業他社が多い中、木材にこだわり続けて100余年。今では全国シェア7割を占めるに至っています。

DSC01209

上写真:足元の黒い材が枕木(まくらぎ)です。

ご説明頂いた大野さん(写真中央)によると、生産量はピーク時に比べると減少しているが、今でも年間約20万本!がつくられているとのこと。ものすごい量です。

木口割れを防ぐためのリング打ち、薬剤を注入するためのインサイジング(刺傷)加工など、普段聞くことの出来ない貴重なお話を頂きました。

DSC01222DSC01223

左写真が「雑(ざつ)」と呼ばれる枕木用の広葉樹です。

ケンパスと呼ばれる南洋材が多いそうですが実に多種多様な樹種が用いられています。広葉樹のなかでも貴重な「栗」は別格とのこと。右写真のように分けて管理されています。

DSC01235

Msがいつも発注しているのはこの栗材をフローリング加工したもの。

針葉樹と異なり、栗は「一本もの」の長い材をとるのが非常に難しいため、欠点箇所をカットし短尺にしてフローリングを製作することが多いです。(※「ユニ」と呼ばれています)


小林三之助商店では、この他にも木製パレットや木製杭までも作成。残材は隣地にある大手製紙工場に持ち込まれます。環境の時代にふさわしい循環型システムが構築されていました。


続いて訪れたのは美濃市にある「岐阜県立森林文化アカデミー」。全国でも珍しい林業から木造建築までを学べる公立の専修学校です。

DSC01241

説明を頂いたのは、木造建築講座で材料を専門に教鞭をとる吉野先生。この学校にしかない、実践的な教育プログラムにみんな興味津々です。

DSC01257

その中でも目を引いたのが学生自らが設計から施工までを行う「自力建設」。上写真はその建設現場です。意欲あふれる造形にみんなの話も弾みます。

DSC01245DSC01260

施設群も見どころ満載です。

左は構造設計者:稲山正弘氏による「森の情報センター」。丸太の架構が圧巻です。右は「オープンラボ(公開試験場)」。地域に開かれた試験場で、Msを含め県外からも多数の企業が実物大試験を依頼しています。


まだまだ大学で木造建築を学ぶ場が少ない中、森林文化アカデミーの取組はまさに先駆的かつ実践的。地域にも開かれています。

社会人入学者が多いのも特徴で、ツアー参加者の中には「今すぐにでも入学したい!」との声も聞かれるほどでした。


次は長良川をさらに上流へ。

郡上市に位置する「白鳥林工協業組合」の見学です。主力製品は長良杉パネル」です。

DSC01271

上写真は、パネルになる前の長良杉の挽き板です。

巾は10センチ内外で集成材より広く、無垢材に近い風合いがあります。

戦後の拡大造林で植えられた50~60年生の杉、そのなかでも直径26センチ程度の丸太(中目材)が良く用いられているとのこと。


これらの材を、木表(きおもて)・木裏(きうら)を交互に、かつ、色目や反り・節の有無などを見極めながら配置するには熟練の技術が求められます。

DSC01265DSC01268

職人さんがまさに一枚一枚吟味し、手仕事に近いかたちでパネルがつくられていきます。


10年程前までは、真冬の豪雪時にも出来る「屋内作業」としての意味合いがあったとのことですが、現在は注文が増え、一年中対応するために専門の部署が出来ています。

DSC01272

Msでは一軒の住宅にこの長良杉パネルを30~40枚使用します。本棚、カウンター、間仕切り壁から家具まで用途は様々。「現代の木の住まい」にぴったりの製品です。


ファイル_006 (4)

美谷添社長、石ヶ谷様はじめ白鳥林工の皆様、ありがとうございました!


長かった一日が終わり、宿へ。宿は岐阜市の「十八楼(じゅうはちろう)」。

これまでのMOKスクールツアーのなかでも最上級の温泉宿です。

IMG_0143

宴会では、美濃市で古民家を活用した地域おこしを行う「一般社団法人インク」の中島明之氏が活動を報告してくれました。設計業務の枠にとどまらず地域の中に自ら飛び込んでいく中島氏の姿勢に賛辞が送られました。


駆け足で各地を見て回った一日目。温泉と長良川のせせらぎで旅の疲れを癒します。


二日目は、岐阜市内の名所やMs・MSDの実作、最新の木造建築を見て回ります。詳細は、後日改めてレポートしたいと思います。


スタッフ:上野

尼崎T邸竣工いたしました②

9月に竣工報告させていただいた尼崎のT邸。

(尼崎T邸竣工いたしました :2016年9月 6日)

引渡後にお時間をいただき、植栽工事を行いました。

今回植栽をお願いしたのはMsではお馴染み、春蒼園の尾崎さん

住まい手のTさんご家族と実際に植える木を見るため、尾崎さんの畑へ

IMG_0115

ご主人のお仕事柄、植栽に詳しく入念に見られていました。

樹木の配置を考える中でも、落葉と常緑では意味合いが違ってきますし、

樹木の枝ふりや葉っぱの付き方でも印象はガラッと変わります。

画竜点睛とまでは言い過ぎかもしれませんが、それほど住まいに大きく影響することは

間違いありません。

工事は後日、住まい手さん立会いのもと行いました。

DSC00950

DSC00955  DSC00988

想像していた通りのバランスかどうか植える前に配置して確認し、植えていきます。

植栽の他、御影石の踏み石や土留めなども一緒に工事して頂きました。

DSC_1797

接道する北側道路面には4m程の株立のアオダモ(写真奥)とアズキナシ(写真手前)を

植え、住宅街の景観に寄与しています。

外壁の杉板と白い壁とのコントラストがとても合っています。

自然素材の家にはやはり植栽が欠かせません。

DSC_1775

南庭の様子です。

手前からシラカシ、エゴノキ、オリーブ、ヤマボウシ、クロモジ、ヒメシャラと植えて

います。

オリーブはもともと敷地に植えていたもので、移植と剪定でスッキリしました。

DSC_1778

すくすく育つ樹木のように、Tさんご家族と住まいの成長をこれからも願っています。

スタッフ戎野

秋の胡桃山荘と見所スポット紹介

大阪でも肌寒く感じる今日この頃、長野県の滞在型モデル住宅『胡桃山荘』へ行ってきました。11月~12月に掛けて胡桃山荘の宿泊予約も立て込んできています。胡桃山荘の良さは、なんと言っても暖かさを逃がさない断熱性能の高さと、内外部ともにふんだんに使用した木材の素晴らしさにあります。

unnamed (9)

しかし、しばし時間を空けると雑草が目立っていました。心なしか天気もどんより。。。ということで、雑草刈りや建物外周のメンテナンスを行いました。

unnamed (17)

まずは雑草刈に併せてアプローチの植栽も見栄えよく刈り込みます。すっきりしたところで日差しも現れ、嬉しい気持ちになります。

unnamed (18)

こちらはデッキの下です。デッキ下部は外部にも関わらず湿気が一番滞留しやすいところ。そして日常生活では目が行き届きにくい部分でもあります。ではなぜ見る必要があるのか・・・?

それはシロアリが基礎コンクリートや束石を上って木材を食べにやってくるからです。シロアリは蟻道という道を作り、木材に侵入したのち食べ荒します。

DSC00881

入隅に見えるものが蟻道。(※参考写真の為、胡桃山荘ではありません。)胡桃山荘の外周部をチェックしましたがシロアリは見つからず・・・ホッと一息です。皆さんも最低1年に1回のメンテナンスは忘れずに行いましょう。建物の寿命は細やかなメンテナンスで決まるといっても過言ではありません。

unnamed (1) 

さて、長野県は新鮮な野菜や果物が豊富に揃っています。こちらは胡桃山荘付近の産直市場『グリーンファーム』です。

unnamed

地元の松茸の香りに圧倒されます。(値段にも圧倒され、手が伸びず・・・)

unnamed (2)

近畿圏ではなかなか見ることがない光景もこちらでは普通です。端材の有効活用。

unnamed (3)

胡桃山荘まで足を延ばしたら車で20分のこちらが私のお勧めスポット、岡谷市『釡口水門』。諏訪湖唯一の出口であり、長野県→愛知県→静岡県を経て太平洋へと流れる天竜川の源です。川のスタートを見る機会はなかなかありません。

unnamed (4)

unnamed (5)

水門周辺には整備された遊歩道や公園、天然温泉と楽しませてくれるスポットが目白押し。

unnamed (6)

無料駐車場のすぐ隣には岡谷名物の鰻専門店も!皮はパリパリ、中はふんわり、香ばしい炭火焼き、PFKの揃い踏み。

スタッフは鰻3枚の特重、所長三澤は2枚の鰻重を注文・・・器の大きさは一緒ですが、器(心)の大きさが違います。

unnamed (13)

こちらは今年6月にオープンした岐阜県多治見市の『モザイクタイルミュージアム』。胡桃山荘から近畿・東海圏へ帰られる際には立ち寄ることができます。中はお楽しみということで控えさせていただきます。

unnamed (12)

・・・と言いつつも、こんなところにJパネルを発見!!ついつい目が行ってしまう木材への熱視線!モザイクタイルと一石二鳥で楽しめます!

unnamed (14)

モザイクタイルの先駆者、山内逸三さんとパシャリ。『モザイクタイルミュージアム』楽しめること間違いなしのスポットです。

さて、胡桃山荘周辺ではまだまだ紹介しきれないほどのスポットが数多くあります。紅葉に併せて宿泊したい、木の住まいでゆっくり家族と団欒したい、そんなときだからこそ胡桃山荘で過ごしてみてはどうでしょうか。宿泊のご連絡をお待ちしております。

スタッフ 中根(胡桃山荘宿泊担当)

南雄三メキシコツアー

9月末日から1週間メキシコシティに行ってきました。南雄三ツアー。業界(古い言い方)では、偏見と趣味性の建築マニアツアーとして有名です。(笑)私も5~6年前トルコへ同行いたしました。

バラガンといえば、あの土俗的メキシコのカラーとして「特異まれ」とまでいわれた建築家です。そして彼は生涯メキシコから出て設計してはいません。標高2300Mのメキシコシティ。個人住宅として唯一のユネスコ世界遺産であるバラガン邸。コートハウスの自邸です。

外観はとても地味です。

DSC_0093

本当かどうかはわかりませんが、この町ではお金持ちがいかにも贅沢極みを尽くした住宅は強盗に入られやすいとのこと・・・。お金持ちほどひっそりと住むのがここでのポイントだとか。

DSC_0101

 

DSC_0104

中庭を望む十字のガラス窓。

DSC_0107

壁はRC+ブロック造。小屋組みはこの細かな梁の連続。

 

DSC_0116

そして居間から書斎につながる持出階段。

DSC_0120

2階の書斎からの見返しです。

DSC_0130

バラガンの庭は常に地元の火山岩の石が使われています。

DSC_0136

 

DSC_0138

日本の金屏風にも似たパーティション。約4M近い天井と小屋組。

DSC_0143

バラガンのカラーは同世代のヨーロッパ:コルビュジェのカラーとはまるで違います。コルビュジェは新芸術、キュビズム、アートです。バラガンは土俗的で深遠です。本で見ていたバラガンのカラー。これは決してアートのカラーではないことが現地の風景でよくわかりました。


三澤康彦

尼崎T邸竣工いたしました

台風10号が去った9月、秋風の冷たさを感じる日が3~4日続きましたが、

まだまだ残暑の厳しさを感じる大阪です。

植栽は尼崎から近いこともあり、宝塚にある尾崎春蒼園にお願いする予定です。

いつもは竣工と共に植栽もするのですが、こう暑くては植木にダメージがあり過ぎます。

その為、9月の末頃を予定しています。

このT邸のご主人、大きな声では言えませんが、植栽のプロなのです。(仕事がです)

尼崎は戦後住宅地として開発された場所なので隣近所、密に住宅が迫っています。

北入りのこの住宅に植栽を豊かにしたい。

町のシンボルツリーとなるような街並みとしたいなど気持ちはいっぱいです。

なので今回は外観はパスします(第二部に続きます。乞うご期待)

 

DSC_0624

DSC_0640

Msの家は作りは都市の中に森を創ることです。

消防上の規制があり、この場所は準防火地域です。

外部廻りは防火規制が多いですが内部はいっぱいの木の空間で出来ています。

2階がLDKです。

DSC_0671

玄関土間から踊り場付の階段を上がるとこの2階です。

DSC_0666 

最近Msでは、階段部分にも建具をつけています。

夏場、1・2階がオープンだとエアコンの冷気全て1階に逃げてゆきます。

この引き戸を閉めておけば万全。

生活の工夫です。

Msの定番、床・階段板は国産のクリです。

いつもお付き合いしている福島県の「オグラ」で入手しています。


1階の個室はサワラです。

DSC_0679

赤味の多いこの天井板・床フローリング

とても素晴らしい材料で惚れ惚れします。


DSC_0696

引渡の風景です。

これから数十年のお付き合いが始まります。

メンテナンス、業者リスト、緊急連絡先等、コアー建築工房の担当者が伝えています。


DSC_0702

2階トイレ、床はサワラの漆仕上げ。

壁は珪藻土左官塗、手洗い器は糸井康博さんの特注。


DSC_0775

サワラ、ブラックウォールナット、珪藻土の構成・コントラストが美しい。


DSC_0761

玄関土間は土足でそのまま南庭に出られます。


そしてサプライズがこれ

DSC_0726

Ms担当者が私に黙ってJパネル、ブラックウォールナット、デッキ材等の端材を使い

大工さんと意気投合し、馬(午)年生まれの住まい手とお子さんへ木馬をプレゼント

こんなにいいものだったら私も一口乗せろアホ!(笑)


三澤康彦