京都市K邸マンションリフォーム、竣工しました

6月に着工した、京都のK邸マンションリフォームが竣工を迎えました。

(着工式の様子はこちら

まずは工事中の様子をお伝えいたします。

こちらは解体を終え、配管工事を始めたときの写真です。解体直後はスケルトン(躯体のみ)状態で、内装や間仕切りは何もありません。

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この状態から、まずは床を施工します。

マンションリフォームでは、床の遮音性が重要視されています。

マンションでは合板遮音フローリングという、ふにゃふにゃした床を張っていることが多いのですが、これを無垢のフローリングに変える場合には注意が必要です。

ただ躯体の上にゴムを敷いて、その上にフローリングを張っただけでは遮音性を発揮できず、下の階の方から苦情がくる可能性が高いのです・・・。

遮音性を確保するには二重床(浮き床)にすることが必須で、K邸ではジャストフロアー(竹村工業)を採用しています。

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ジャストフロアーは脚部と床板で成り立ち、写真は脚部を裏返して高さ調整を行っているところです。

(先端のゴム部分を回すことで高さが変更できます。)

これをひっくり返し、床板の木毛セメント板(国産の桧とセメントと水のみでできた、耐水性のある素材)を張ります。

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ゴム部分が振動を吸収して躯体に音を伝えない仕組みになっています。

ジャストフロアーを張り終えたら、次はフローリングを張っていきます。

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フローリングは、ワークショップで塗った漆床(杉)。

Msでは構造材や造作材に漆を塗ることが多いのですが、材料に味が出てアクセントにもなるのでお勧めです!
(雑誌コンフォルト158号に、漆記事が掲載されていますので、ご覧くださいませ)

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外部に面した壁には断熱材(フェノバボード25mm厚)を二重張りします。

写真は二層目(内側)の断熱材です。

二層目では、断熱材同士が(断熱材に比べて)熱を伝えやすい木部で仕切られていますが、一層目(外側)には木部がなく、断熱材が途切れることなく張られているので、十分な断熱性能が確保されています。

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さらに工事が進み、壁が立ち上がっています。

壁はJパネル(杉)を使用しています。

ちなみに、K邸のようなRC造のマンションは、部屋内の壁は構造体ではありません。

構造体でない壁は耐力壁である必要はありませんが、Jパネルは壁倍率(壁の強さ)が2.5倍の認定耐力壁です。厚さ36mmでも頑丈・安心ですね。

Jパネル上部の横に通っているのは差鴨居(さしがもい)と呼ばれる部材で、木造建築に良く見られます。
差鴨居があることでマンションらしくない、木造の様な雰囲気になります。

竣工後の写真をご紹介いたします。

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竣工写真はカメラマンの畑さんにお願いしましたが、1ヶ月後にデータを頂けるということですので、今回は畑さんの後ろについて、真似て撮影したものを載せています。(スタッフ酒谷撮影)

●玄関土間

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マンションには珍しい、広い土間が特徴的です。
この土間から3方向(玄関から見て右:寝室1、中央:図書室からリビングへ、左:寝室2)へ直接入ることが出来ます。

●キッチン

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●リビング

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●書斎

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●寝室

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ベッドはJパネルで組んだベッド(名付けてJベッド!)に、ウレタンのクッションを敷いています。

建具はアクリル樹脂ガラスを使用した、障子風建具です。
上下が雪見障子になっており(雪は見えませんが)、玄関からバルコニーに向かって風が流れる道をつくりました。

マンションにありがちな「風通しの悪さ」を解消しています。


●図書室

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こちらは玄関からリビングを見たところです。

両脇が本棚になっており、「図書室」と読んでいます。

大判の美術史など、住まい手さんが持っていらっしゃった本をたくさん収納できます。

この図書室が二人のお子さんが本を読むきっかけになれば良いなと思います。

HPにも作品事例としてUP予定ですので、お楽しみに。

Msスタッフ酒谷

大阪府N邸建物詳細調査

12月に入り本格的な冬将軍の到来です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

冷え込む季節に入って気になり始めるのは家の暖かさですよね。

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今回詳細調査を行ったN邸の住まい手さんも冬の寒さが気になり断熱改修を検討しているとのことでご依頼いただきました。築20年程度のハウスメーカーさんの住宅ですが、日本の断熱性能への関心はここ10年で多く変化し、現在は性能値もぐんぐんと上がっています。

Msは、建物の温熱環境について意欲的に取り組んでいる設計事務所です。

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詳細調査は11月中旬に実施しました。今回はMsスタッフ総動員で調査を行っています。

まずは住まい手さんに挨拶をして調査スケジュールをお伝えします。IMG_0478.JPG

そして各自の分野担当に分かれて点検を行っていきます。

今回は①劣化②採寸・展開③仕上④設備⑤床下⑥小屋裏・2階床⑦ヒアリング・矩計の7班に分かれて作業しています。

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床下点検の様子です。点検口から侵入して基礎の鉄筋の有無を確認しています。劣化箇所(ボルトの錆等)がないかも合わせてチェックします。

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小屋裏・2階床の様子です。構造躯体の位置確認や断熱材の有無、劣化がないかこちらも点検していきます。小屋裏にはグラスウール(断熱材)が発見されたので厚みもしっかり採寸します。

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調査は1日かかりの作業なので、途中にお昼休憩をはさみます。住まい手さんに1室お借りして持参したお弁当を食べました。

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朝から気合を入れて5合分の大量のおにぎりを生産。気合を入れ過ぎて余りました。。。

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お昼休憩は全体で集まる唯一の時間なので途中経過の報告を各担当で行っていきます。ミーティングを含め1時間ほど休憩した後に午後の調査開始です。

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コンセントカバーを外して壁内に断熱材が入っているか確認をしています。(上左写真)

現在使用されている家電についても品番などチェックしていきます。今の家の断熱性能値で使用しているエネルギーを試算して、改修後を提案する際に比較します。

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その他、建物の採寸段差の高さなど細部まで測っていきます。

16時調査・片づけを完了して最後もう一度挨拶をさせていただき調査完了です。

調査後は報告書を作成し、12月下旬に報告を行う予定です。住まい手さんには長時間お付き合いいただきお礼申し上げます。有難うございました。

Msスタッフ 久保

秋のMOKスクールツアー2017

11月中旬、秋のMOKスクールツアーで静岡県に訪れました。今回のツアーでは製材所から美術館、大型木造建築、はたまた遺跡まで幅広く見て回ります。

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一日目は天竜川が流れ、天竜材の産地である浜松へ。

天竜川流域には約9万haの森林が広がっています。そのうち約80%を占めているスギ・ヒノキの人工林は「天竜美林」と呼ばれ、そこから取れる天竜材は粘り強く、色も良い良材です。

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まず最初に訪れたのは、「天竜の杉檜と生きる」を理念とする(株)フジイチです。昭和21年に創業し、立ち木仕入から製品販売まで行う老舗です。

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写真の様な丸太材の状態で良材かどうかを判断する方法や年輪の詰り具合から木材の質を判断する方法等、実際に見て聞くことで納得する内容が盛りだくさんで、とても興味深い話ばかりでした。気になることをその場で聞けるのはツアー参加者の特権ですね!

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実際に製材しているところも見学させていただきました。

あっという間に丸太材が加工されていきます。

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木材が建築物として構築される前にどのような手順を踏んで加工されていくのか、目の前でまじまじと見れる貴重な時間でした。

続いて訪れたのは、藤森照信氏設計の秋野不矩美術館です。

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建物には天竜杉を使用したり、壁には漆喰を使用したりと自然素材が多く取り入れられとても土着的な雰囲気になっています。

内部空間には梁組みが残されており、鉄筋コンクリートをあまり感じさせない造りになっていました。DSC_1756.jpg

自然素材の持つ不規則性がとても温かみがあり、ほっとする空間でした。

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そして、一日目の最後に(有)石牧建築を訪れました。石牧建築では、加工の際、木材に墨で印をつけます。そして手道具を駆使して刻む伝統的な大工技術を用いた建築をしています。構造部材等の家の骨組みだけでなく、建具枠などの造作部材と建具や家具の製作も行っています。

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実際に大工さんが手刻みで加工を行っている作業場も見せてもらいました。

そうこうしているうちに辺りは真っ暗です。一日目だけでも、とても充実したスケジュールで濃密な一日となりました。

石牧建築を後にし、本日の宿にチェックインです。

夕食・懇親会では、色々な方と交流でき、建築話から世間話まで幅広い話題で盛り上がりました。

お酒も入り、皆さんご満悦です。湯船にもつかり、疲れた体が癒されました。

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ツアー2日目は、まず漆床の家からスタートです。とてもいい天気となり、朝から気持ちがいいです。設計を三澤文子、施工を石牧建築が行っています。

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光が室内に射し込み、漆塗りをした床の色がとてもいい味を出しています。とても綺麗に住んでいただいており、丸窓から覗くとまた違った家の表情が見えます。

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家具もとても雰囲気の良いものばかりで、つい魅入ってしまいました。私もこんな家具が欲しいです。

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次に向かったのは住宅から打って変わりまして、教科書にも出てきたであろうあの登呂遺跡です。

竪穴式住居がいくつもありました。背景にある現代住宅とのギャップがすごいです...

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お昼は遺跡の近くにある登呂「もちの家」でお蕎麦を頂きました。ここは実は200年前の奥会津の農家を移築したものです。

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店内には交差梁が架かっており、思わず長居したくなる、とてもゆったりできる空間でした。

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そして、ツアーの最後に内藤廣建築設計事務所が設計した草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」へとやって来ました。延床面積1万3000㎡程の大型建築です。この施設は静岡県草薙総合運動場リニューアル事業の一環として、現有施設の建て替え工事として計画されたものです。

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中へ入るとメインフロアが拡がり、その空間を支える杉の集成材には樹齢50~60年の材を中心に使用してあります。構造体として利用できない余剰材についてもメインフロアの天井ルーバー材や2階エントランス壁材として二次利用されています。この日はちょうど子供たちのドッジボール大会が催されていました。この木質の大空間で、とても白熱していました。

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最後にMOKスクールツアー参加者で記念撮影!お疲れ様でした!

いかがでしたでしょうか。木材の製材所から木材が遺跡から大型建築物まで使われている様子を実際に見て回り、改めて木材の表情の豊かさを感じました。木造建築の可能性を感じる二日間で木造に携わる者としてとても充実した二日間だったのではないでしょうか。

来年のツアーではどこを訪れるのでしょうか。今から楽しみです。

Msスタッフ宮本

K邸の10年メンテナンス

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2007年に竣工したK邸を三澤文子さんとスタッフがメンテナンスを兼ね訪問させて頂きました。kさんのお子さんは社会人になられ、ご夫妻の生活スタイルも変化しておられます。

10年間お使い頂いた椅子や壁には部分的に汚れも出てきました。

椅子の張り替えや、汚れ落としなど、見た目をキレイにするご相談たけでは無く

メンテナンスでは、温熱環境などのエネルギー使用量も含めたお話を心掛けています。

当時は無かった、LEDの効果や家電類の消費電力についても知って頂ければと思います。

kさんに光熱費の使用状況をお聞きし、室内の温度と湿度を計測する測定器を2週間設置させていただきました。

光熱費や温湿度の変化と、普段の暮らし方をお聞きしながら、K邸の特徴を分析します。

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こちらは、建物をキレイにする作業

10年間の汚れをMsスタッフの宮本さんが掃除をしています。

雨水がはねる場所や、室外機の裏は汚れやすい場所となります。

ですが、お掃除やメンテナンスをすると大抵キレイになります。

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(写真左)汚れを落とす前、(写真右)お掃除後、

藻やカビが混じった汚れの為、左官用の殺カビ材を使用しました。

仕上げに漆喰用の撥水材を塗り、これからは汚れが付きにくい仕上げとしました。

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(写真左)10年前のK邸 、(写真右)メンテナンスを終えたK邸、

見た目だけで無く、これからも健全な建物が維持出来るメンテナンスを行っていきたいと思います。

スタッフ 新井

神戸市S邸新築工事 木材検査~木配り

皆さんは家づくりをする時にまず段取りしなければならない材料は何か知っていますか?ぱっと答えの出る方はおそらく少ないのではないでしょうか。正解は『構造材』です。私たちは、工事契約の数ヶ月前にまず木材契約を交わしていただくことを全ての住まい手にお願いしています。まだ工事契約もしていないのになぜ・・・??そこに疑問を持つことが大切です。

木材契約とは、『良質な木材(構造材)を確保するために、工事契約に先立って木材を発注させてもらいますね』そんな意味になります。もっと端的に分かりやすく言うと、『良質な木材(構造材)を確保するためには、工事契約をしてからでは間に合いません』ということです!

ではなぜ間に合わないのか?そんな疑問を解決させながら、私たちが欠かさず毎物件行っている木材検査~木配りまでの流れをみていきたいと思います。

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さて、まずは工事契約から2~3ヶ月程前、プランが固まったと同時に木材契約を行い、製材所へ構造材の段取りをお願いします。私たちは必ず軸組模型をつくり、部材同士の接合や継ぎ手、室内からの梁の見え方など様々な要素を検討します。

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工事契約が済んだ段階で、木材検査に行きます。今回のS邸で構造材をお願いしたのは、奈良県吉野の阪口製材所。人工乾燥が主流なこの現代において、自然乾燥に拘り、そして多くの特殊材を含めてストックしているのが特徴の製材所です。並べられている材はS邸、それ以外は自然乾燥中の材となりますが、これはほんの一握りに過ぎません。

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私たちはこの段階で住まい手にも見てもらうことをお勧めしています。一般的には構造材を段取りしている状態から見る機会は非常に少ないですが、この段階から携わっていただくと、自ずと住まいに対しての愛情が強くなります。

『この材料は寝室に見える材料ですよ!』会話が弾み、住まい手のテンションも上がりっぱなしです。今回は阪口社長と勝行さんにも立ち会っていただきました。

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さて、綺麗な材料を手に入れるための木材検査ではありません。木材の強度を決める上で重要な含水率(木材の中に含まれる水分量)とヤング(たわみにくさ)を1本1本計測し、品質を管理することが大きな目的です。立木の状態では元(木の根元側)から水を吸い上げているため、含水率も測る位置によって少なからずバラツキが出ます。そのため含水率測定(写真上)では、元・中央・末と1本につき3ヵ所を計測することで、平均値を取って管理を行います。その他にも注意点はいくつかありますが、木材を知ってこそだと言えると思います。

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木材検査を終えた後、建て方までのもう一つ重要な作業、それが『プレカット打合せ・木配り』です。プレカットは毎度お馴染み、松阪市のコウヨウプレカットにお願いしています。ここからは設計・プレカット工場・工務店の三者がそれぞれの立場から意見を出し合い、懸念事項を解消していきます。今回の工務店は木の家づくりを得意とするコアー建築工房です。ここからは必ず棟梁(大工)にも参加して頂き、建て方に向けてのイメージをつくってもらいます。ここでも軸組模型は欠かせません。およそ2時間みっちりと行い、午前が終了です。

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お昼は松阪牛で力を蓄え、午後からは待ちに待った『木配り』です。手分けして木材を並べていきます。4Mから最長6Mがメインの材料となるため、なかなかの重量があります。

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田尻棟梁と部屋内から見える化粧材を吟味して配っていきます。「番付」と呼ばれるこの作業、出来上がった時の空間を想像しながら行います。とてもワクワクする作業の一つで、私は大好きです。

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赤味勝ちの化粧材、阪口製材所の方々が長年大切に育ててきた材料を無駄に使うことはできません。私たちがしっかりと気を配って使わせていただくこと、それが『木配り』だと思います。

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杉の構造材以外にも、大黒柱を含め様々な堅木(広葉樹)を使用するのがエムズ流。今回はこちらの5本、クリやセン、ケヤキを段取りしました。真っ黒になっている材料も見えますが、これは宝物です。10年程寝かせてあったものを木材倉庫から選んできました。ここからべっぴんさんへ大変身、出来上がりをお楽しみに。

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着工から建て方までには決して十分な時間があるとは言えません。良質な構造材を手に入れるには少しでも早く段取りを始めることが必要不可欠となります。建て方までにこのような段階を経て、ようやく手に入れることができるのです。工事は多くの方にご協力を頂きながら進めていきますが、熱い想いを持った方々ばかりです。そんな想いを繋いでいくのも私たちの役目なのだと思います。

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おまけです、11月3日、文化の日。コアー建築工房では毎年恒例の感謝祭が行われました。いつもは真面目な表情(?)の現場監督大谷さんと田尻棟梁。子供たちに見せる笑顔がいつもと違い新鮮でした。現場でもたくさんの笑顔を振りまいてくれることと思います。

スタッフ 中根