大阪府N邸建物詳細調査

12月に入り本格的な冬将軍の到来です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

冷え込む季節に入って気になり始めるのは家の暖かさですよね。

-

今回詳細調査を行ったN邸の住まい手さんも冬の寒さが気になり断熱改修を検討しているとのことでご依頼いただきました。築20年程度のハウスメーカーさんの住宅ですが、日本の断熱性能への関心はここ10年で多く変化し、現在は性能値もぐんぐんと上がっています。

Msは、建物の温熱環境について意欲的に取り組んでいる設計事務所です。

-

-

詳細調査は11月中旬に実施しました。今回はMsスタッフ総動員で調査を行っています。

まずは住まい手さんに挨拶をして調査スケジュールをお伝えします。IMG_0478.JPG

そして各自の分野担当に分かれて点検を行っていきます。

今回は①劣化②採寸・展開③仕上④設備⑤床下⑥小屋裏・2階床⑦ヒアリング・矩計の7班に分かれて作業しています。

図1.png

床下点検の様子です。点検口から侵入して基礎の鉄筋の有無を確認しています。劣化箇所(ボルトの錆等)がないかも合わせてチェックします。

図2.png

小屋裏・2階床の様子です。構造躯体の位置確認や断熱材の有無、劣化がないかこちらも点検していきます。小屋裏にはグラスウール(断熱材)が発見されたので厚みもしっかり採寸します。

-

-

調査は1日かかりの作業なので、途中にお昼休憩をはさみます。住まい手さんに1室お借りして持参したお弁当を食べました。

IMG_0538.JPG

朝から気合を入れて5合分の大量のおにぎりを生産。気合を入れ過ぎて余りました。。。

-

お昼休憩は全体で集まる唯一の時間なので途中経過の報告を各担当で行っていきます。ミーティングを含め1時間ほど休憩した後に午後の調査開始です。

図3.png

コンセントカバーを外して壁内に断熱材が入っているか確認をしています。(上左写真)

現在使用されている家電についても品番などチェックしていきます。今の家の断熱性能値で使用しているエネルギーを試算して、改修後を提案する際に比較します。

図4.png

その他、建物の採寸段差の高さなど細部まで測っていきます。

16時調査・片づけを完了して最後もう一度挨拶をさせていただき調査完了です。

調査後は報告書を作成し、12月下旬に報告を行う予定です。住まい手さんには長時間お付き合いいただきお礼申し上げます。有難うございました。

Msスタッフ 久保

秋のMOKスクールツアー2017

11月中旬、秋のMOKスクールツアーで静岡県に訪れました。今回のツアーでは製材所から美術館、大型木造建築、はたまた遺跡まで幅広く見て回ります。

DSC_1745.jpg

一日目は天竜川が流れ、天竜材の産地である浜松へ。

天竜川流域には約9万haの森林が広がっています。そのうち約80%を占めているスギ・ヒノキの人工林は「天竜美林」と呼ばれ、そこから取れる天竜材は粘り強く、色も良い良材です。

DSC_1664.jpg

まず最初に訪れたのは、「天竜の杉檜と生きる」を理念とする(株)フジイチです。昭和21年に創業し、立ち木仕入から製品販売まで行う老舗です。

DSC_1712.jpg

写真の様な丸太材の状態で良材かどうかを判断する方法や年輪の詰り具合から木材の質を判断する方法等、実際に見て聞くことで納得する内容が盛りだくさんで、とても興味深い話ばかりでした。気になることをその場で聞けるのはツアー参加者の特権ですね!

DSC_1724.jpg

実際に製材しているところも見学させていただきました。

あっという間に丸太材が加工されていきます。

DSC_1725.jpg

木材が建築物として構築される前にどのような手順を踏んで加工されていくのか、目の前でまじまじと見れる貴重な時間でした。

続いて訪れたのは、藤森照信氏設計の秋野不矩美術館です。

DSC_1750.jpgIMG_6449.JPG

建物には天竜杉を使用したり、壁には漆喰を使用したりと自然素材が多く取り入れられとても土着的な雰囲気になっています。

内部空間には梁組みが残されており、鉄筋コンクリートをあまり感じさせない造りになっていました。DSC_1756.jpg

自然素材の持つ不規則性がとても温かみがあり、ほっとする空間でした。

DSC_1763.jpg

そして、一日目の最後に(有)石牧建築を訪れました。石牧建築では、加工の際、木材に墨で印をつけます。そして手道具を駆使して刻む伝統的な大工技術を用いた建築をしています。構造部材等の家の骨組みだけでなく、建具枠などの造作部材と建具や家具の製作も行っています。

DSC_1776.jpg

実際に大工さんが手刻みで加工を行っている作業場も見せてもらいました。

そうこうしているうちに辺りは真っ暗です。一日目だけでも、とても充実したスケジュールで濃密な一日となりました。

石牧建築を後にし、本日の宿にチェックインです。

夕食・懇親会では、色々な方と交流でき、建築話から世間話まで幅広い話題で盛り上がりました。

お酒も入り、皆さんご満悦です。湯船にもつかり、疲れた体が癒されました。

DSC_1795.jpgDSC_1804.jpg

ツアー2日目は、まず漆床の家からスタートです。とてもいい天気となり、朝から気持ちがいいです。設計を三澤文子、施工を石牧建築が行っています。

DSC_1809.jpgDSC_1816.jpg

光が室内に射し込み、漆塗りをした床の色がとてもいい味を出しています。とても綺麗に住んでいただいており、丸窓から覗くとまた違った家の表情が見えます。

IMG_0608.JPG

家具もとても雰囲気の良いものばかりで、つい魅入ってしまいました。私もこんな家具が欲しいです。

DSC_1394.JPG

次に向かったのは住宅から打って変わりまして、教科書にも出てきたであろうあの登呂遺跡です。

竪穴式住居がいくつもありました。背景にある現代住宅とのギャップがすごいです...

DSC_1830.JPG

お昼は遺跡の近くにある登呂「もちの家」でお蕎麦を頂きました。ここは実は200年前の奥会津の農家を移築したものです。

DSC_1386.JPG

店内には交差梁が架かっており、思わず長居したくなる、とてもゆったりできる空間でした。

DSC_1418.JPG

そして、ツアーの最後に内藤廣建築設計事務所が設計した草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」へとやって来ました。延床面積1万3000㎡程の大型建築です。この施設は静岡県草薙総合運動場リニューアル事業の一環として、現有施設の建て替え工事として計画されたものです。

DSC_1843.jpg

中へ入るとメインフロアが拡がり、その空間を支える杉の集成材には樹齢50~60年の材を中心に使用してあります。構造体として利用できない余剰材についてもメインフロアの天井ルーバー材や2階エントランス壁材として二次利用されています。この日はちょうど子供たちのドッジボール大会が催されていました。この木質の大空間で、とても白熱していました。

DSC_1853.jpg

最後にMOKスクールツアー参加者で記念撮影!お疲れ様でした!

いかがでしたでしょうか。木材の製材所から木材が遺跡から大型建築物まで使われている様子を実際に見て回り、改めて木材の表情の豊かさを感じました。木造建築の可能性を感じる二日間で木造に携わる者としてとても充実した二日間だったのではないでしょうか。

来年のツアーではどこを訪れるのでしょうか。今から楽しみです。

Msスタッフ宮本

K邸の10年メンテナンス

1-2.jpg

2007年に竣工したK邸を三澤文子さんとスタッフがメンテナンスを兼ね訪問させて頂きました。kさんのお子さんは社会人になられ、ご夫妻の生活スタイルも変化しておられます。

10年間お使い頂いた椅子や壁には部分的に汚れも出てきました。

椅子の張り替えや、汚れ落としなど、見た目をキレイにするご相談たけでは無く

メンテナンスでは、温熱環境などのエネルギー使用量も含めたお話を心掛けています。

当時は無かった、LEDの効果や家電類の消費電力についても知って頂ければと思います。

kさんに光熱費の使用状況をお聞きし、室内の温度と湿度を計測する測定器を2週間設置させていただきました。

光熱費や温湿度の変化と、普段の暮らし方をお聞きしながら、K邸の特徴を分析します。

5.jpg

こちらは、建物をキレイにする作業

10年間の汚れをMsスタッフの宮本さんが掃除をしています。

雨水がはねる場所や、室外機の裏は汚れやすい場所となります。

ですが、お掃除やメンテナンスをすると大抵キレイになります。

77.jpg

(写真左)汚れを落とす前、(写真右)お掃除後、

藻やカビが混じった汚れの為、左官用の殺カビ材を使用しました。

仕上げに漆喰用の撥水材を塗り、これからは汚れが付きにくい仕上げとしました。

9.jpg

(写真左)10年前のK邸 、(写真右)メンテナンスを終えたK邸、

見た目だけで無く、これからも健全な建物が維持出来るメンテナンスを行っていきたいと思います。

スタッフ 新井

神戸市S邸新築工事 木材検査~木配り

皆さんは家づくりをする時にまず段取りしなければならない材料は何か知っていますか?ぱっと答えの出る方はおそらく少ないのではないでしょうか。正解は『構造材』です。私たちは、工事契約の数ヶ月前にまず木材契約を交わしていただくことを全ての住まい手にお願いしています。まだ工事契約もしていないのになぜ・・・??そこに疑問を持つことが大切です。

木材契約とは、『良質な木材(構造材)を確保するために、工事契約に先立って木材を発注させてもらいますね』そんな意味になります。もっと端的に分かりやすく言うと、『良質な木材(構造材)を確保するためには、工事契約をしてからでは間に合いません』ということです!

ではなぜ間に合わないのか?そんな疑問を解決させながら、私たちが欠かさず毎物件行っている木材検査~木配りまでの流れをみていきたいと思います。

DSC_1717.JPG

さて、まずは工事契約から2~3ヶ月程前、プランが固まったと同時に木材契約を行い、製材所へ構造材の段取りをお願いします。私たちは必ず軸組模型をつくり、部材同士の接合や継ぎ手、室内からの梁の見え方など様々な要素を検討します。

IMG_2825.JPG

工事契約が済んだ段階で、木材検査に行きます。今回のS邸で構造材をお願いしたのは、奈良県吉野の阪口製材所。人工乾燥が主流なこの現代において、自然乾燥に拘り、そして多くの特殊材を含めてストックしているのが特徴の製材所です。並べられている材はS邸、それ以外は自然乾燥中の材となりますが、これはほんの一握りに過ぎません。

DSC_1687.JPG

私たちはこの段階で住まい手にも見てもらうことをお勧めしています。一般的には構造材を段取りしている状態から見る機会は非常に少ないですが、この段階から携わっていただくと、自ずと住まいに対しての愛情が強くなります。

『この材料は寝室に見える材料ですよ!』会話が弾み、住まい手のテンションも上がりっぱなしです。今回は阪口社長と勝行さんにも立ち会っていただきました。

DSC_1704.JPG

DSC_1674.JPG

さて、綺麗な材料を手に入れるための木材検査ではありません。木材の強度を決める上で重要な含水率(木材の中に含まれる水分量)とヤング(たわみにくさ)を1本1本計測し、品質を管理することが大きな目的です。立木の状態では元(木の根元側)から水を吸い上げているため、含水率も測る位置によって少なからずバラツキが出ます。そのため含水率測定(写真上)では、元・中央・末と1本につき3ヵ所を計測することで、平均値を取って管理を行います。その他にも注意点はいくつかありますが、木材を知ってこそだと言えると思います。

IMG_2904.JPG

木材検査を終えた後、建て方までのもう一つ重要な作業、それが『プレカット打合せ・木配り』です。プレカットは毎度お馴染み、松阪市のコウヨウプレカットにお願いしています。ここからは設計・プレカット工場・工務店の三者がそれぞれの立場から意見を出し合い、懸念事項を解消していきます。今回の工務店は木の家づくりを得意とするコアー建築工房です。ここからは必ず棟梁(大工)にも参加して頂き、建て方に向けてのイメージをつくってもらいます。ここでも軸組模型は欠かせません。およそ2時間みっちりと行い、午前が終了です。

IMG_4272.JPG

お昼は松阪牛で力を蓄え、午後からは待ちに待った『木配り』です。手分けして木材を並べていきます。4Mから最長6Mがメインの材料となるため、なかなかの重量があります。

IMG_4252.JPG

田尻棟梁と部屋内から見える化粧材を吟味して配っていきます。「番付」と呼ばれるこの作業、出来上がった時の空間を想像しながら行います。とてもワクワクする作業の一つで、私は大好きです。

IMG_4281.JPG

赤味勝ちの化粧材、阪口製材所の方々が長年大切に育ててきた材料を無駄に使うことはできません。私たちがしっかりと気を配って使わせていただくこと、それが『木配り』だと思います。

IMG_4294.JPG

杉の構造材以外にも、大黒柱を含め様々な堅木(広葉樹)を使用するのがエムズ流。今回はこちらの5本、クリやセン、ケヤキを段取りしました。真っ黒になっている材料も見えますが、これは宝物です。10年程寝かせてあったものを木材倉庫から選んできました。ここからべっぴんさんへ大変身、出来上がりをお楽しみに。

IMG_4307.JPG

着工から建て方までには決して十分な時間があるとは言えません。良質な構造材を手に入れるには少しでも早く段取りを始めることが必要不可欠となります。建て方までにこのような段階を経て、ようやく手に入れることができるのです。工事は多くの方にご協力を頂きながら進めていきますが、熱い想いを持った方々ばかりです。そんな想いを繋いでいくのも私たちの役目なのだと思います。

IMG_4399.JPG

IMG_4396.JPG

おまけです、11月3日、文化の日。コアー建築工房では毎年恒例の感謝祭が行われました。いつもは真面目な表情(?)の現場監督大谷さんと田尻棟梁。子供たちに見せる笑顔がいつもと違い新鮮でした。現場でもたくさんの笑顔を振りまいてくれることと思います。

スタッフ 中根

自立循環型住宅研究会フォーラム全員参加!


スタッフ.jpg
10月25日 大阪で自立循環型住宅研究会フォーラム2017が開催されました
Ms建築設計事務所の設計スタッフは全員が参加!

このフォーラムでは、建物の温熱に関係する測定やシュミレーションを基に各自の取り組みを発表します。
建物の温熱環をグラフで表すとこのようになります。地域、建物の環境や性能によって室内の環境は様々です。
onndo.jpg

(グラフ左)京都市 改修前冬のマンションの温度変化:暖かい室内環境が維持出来るマンションです。

(グラフ右)兵庫県姫路市 在来工法の住宅:断熱材が入っていない箇所が目立つ建物でした。暖房を切るとすぐに室温が下がり温度変化が急激です。


こちらはエネルギー性能のグラフ(世帯人数別入力)
用途分析グラフ.jpg
グラフ上が標準的な家庭のエネルギー使用量です
下は、住ま手Kさんに一年間の光熱費をお聞きし、作成したグラフです。このグラフを見ながらどの様な使用特徴があるか、エネルギーについて考えます。

下の画像はサーモカメラ、窓の画像は見慣れた方も多いのでは無いでしょうか?スタッフの中根さんが冷蔵庫の画像を撮ってきてくれました。

冷蔵庫サーモ.jpg
温度変化を視覚で確認すると、冬の窓断熱、夏の日射遮蔽の重要さが確認できます。

今回のフォーラムはこの様な測定を行い
自立循環型研究会 野池政宏氏 ゲスト講師の松尾和也氏を前に、建物の温熱環境をテーマに発表を行います。参加者は温熱環境に感心が高い、工務店や設計者などです。

◆フォーラム初日◆
まずはMs宮本「赤欅の家 改修前後の温熱環境比較」について解説。
改修前の建物調査の様子や、木部の劣化状況について紹介し、改修前と後の温熱環境比較を説明しました。

Ms新井「熟年層の温熱環境について」築10年目のお宅の温熱環境についての取り組みを発表致しました。

◆フォーラム2日目◆
Ms中根「Jパネルハウスの温熱実測と結果~木箱の家~」
通常行う温湿度測定のほかに、サーモカメラで室内外を撮影、室内の風速を測定し何故この家は心地が良いのかを解説しました。

風速計.jpg

Ms久保「大型古民家の温熱改修」
建物詳細調査からの規模の大きな改修であったので、改修手法についての感心が高かったように思います。

Ms酒谷 「照明設備計画の実践について」
竣工後に照明の明るさを計測し、選定した照明について振り返りながら解説を行った。Msで作成した照明選定ツールソフトの紹介では参加者が写真をパシャパシャ、たいへん好評でした。

Ms上野「200㎡以下の木造高齢者施設」
この施設は構造材とJパネルに「おおさか材」を採用し地域に根付いた木造の施設です。敷地北側に開口部を配置している意図をゲスト審査員の松尾氏からも納得して頂けました。

Msの温熱講師の中野さん「自立循環型住宅の実践と実測 浜ノ町の家」
中野さんの計測に興味を持った施主の協力から、豊富なデータ解説をお聞きする事ができました。参加者の皆さんも大変勉強になったのでは無いかと思います。

2日間で13名の発表が終わり、発表者の中より最優秀賞の発表があります。

今年は、Msの温熱講師をして頂いている 水の葉設計社 中野 弘嗣さん、と、アトリエ・コ・ラボ 木村真二さんが受賞されました(おめでとうございました!)

IMG_2679.JPG

Msスタッフ全員で、有意義な2日間を過ごす事ができました。

スタッフ新井