2014年10月アーカイブ

名栗加工現場 2014年10月24日

つい先日、名栗加工現場を見学させていただく機会があり、大阪市内にある橘商店さんに行ってきました。Msでも定番の名栗加工、大阪でこれができるのは唯一橘商店さんだけです。その名栗加工を実演していただいたのは、名栗加工歴30年の橘さんです。ちなみに「名栗(なぐり)」とは、角材や板に「突き鑿(ノミ)」や「ちょうな」などの道具で独特の削り痕を残す日本古来からの加工技術のことです。

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ピーラー(米松)を「突きノミ名栗」している様子。これは名栗の中でも基本となり、一方向に突いた柄を「一方突き」、これらをいくつか組み合わせたものを「矢型」と言います。基本的に柾目は加工できますが、板目は加工が難しいとのこと。理由は同方向に名栗加工を施していくと板目は途中で目の方向が変わってしまい一定方向に加工をするのが難しくなってしまうからです。無理やり加工を施したものは表面が荒く、ガサガサになってしまっていました。やはり大切なのは木の性質に従い、そして逆らわないことです。

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こちらは六角に製材した栗に名栗加工「六角名栗」を施している様子。木の中でも栗は灰汁(あく)が非常に出やすい材種なので加工後灰汁抜きを行います。

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六角名栗を施したものに、さらに漆塗りを行ったものがこちら。材の良さが一段と増してどれも味わい深いです。「色ムラを敢えて付けたりすると良さが際立つ!」と橘さん。橘商店さんでは名栗加工の大半に栗を使っています。

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まさに名栗加工、そして職人の命ともいうべき道具たちです。「突き鑿(ノミ)」の寿命は40年。もちろん加工種類によって使い分けもありますが、長年加工をしているうちに刃が徐々に削れて短くなっているのがお分かりでしょうか(右写真)。1日で40本程度の加工をされるそうですが、相当な力が必要な仕事なのに40本も...職人技です。

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最後に、こちらを訪れた際に魅力的なベンチを発見。世界に一つだけの名栗ベンチです。職人さんの手間暇かけた唯一無二のモノに腰掛け休憩する方の姿が目に浮かびます。木材なだけに手触りが良く、感触も楽しめ、座り心地もとても良かったです。

大きさは違えど、Msも住まい手さんに唯一無二なモノ(すまい)を今後もつくり続けていきたいと思います。

スタッフ 中根

MOKゼミ神戸11月のご案内【29年後の「木の住まい」】 2014年10月15日

少し先になりますが次回のMOKゼミ神戸のご案内です。次回はついに今年度の最終回になります。

今回はいつもの会場(トアロードリビングスギャラリー)ではなく三澤康彦・文子の自邸・Ms建築設計事務所を見学頂きます。これまでのMOKゼミ神戸での講義内容を踏まえて、実際の木の住まいを体感して頂きます。座学とはまた違った視点でご参加頂けると思います。

29年間の中で、幾度と改修を重ねて住まいと共に年月を共にしてきた三澤夫妻のお話しをお楽しみください。設計者という立場だけではなく、住まい手としてのお話しもさせて頂きます。

また当日は軽食をご用意しております。木の住まいを満喫してみませんか。

日時:2014年11月22日(土)12時~15時

※12時までに直接会場でお越しください

会場:Ms建築設計事務所・三澤邸(大阪府吹田市古江台3-18-10)

持物:受講費2,000円 ※当日現金でお支払ください

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是非お気軽にお誘い合せの上ご参加ください。

皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。

※受講には事前のお申込みが必要です・

お問い合わせ、お申込みは電話またはメールにてお受けしております。

電話)06-6831-5917

メール)info-ms@ms-a.com

MOKゼミ神戸事務局担当 平賀

御影K邸:竣工報告 2014年10月06日

昨年11月より工事を進め、8月に中旬にお引き渡しをした神戸市K邸。
先日引っ越しを終え、いよいよ住まい手さんの新たな生活が始まりました。

過去の記事はこちらをご覧ください。
設計中 http://www.ms-a.com/2013/09/05/
着工 http://www.ms-a.com/2014/01/20/
上棟 http://www.ms-a.com/2014/03/08/
土壁塗り http://www.ms-a.com/2014/06/28/

 

過去の日記でも紹介しているように、K邸は準防火地域に建つ木造3階建ての住宅です。
敷地は住宅街の角地に位置しています。

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北側道路からの様子。
木造3階建ての住宅ですが、軒先を低くし2階建てのような外観としています。
白色部分はおなじみの「そとん壁」。
1階外壁は40×60の杉材を杉板張りの上に押し縁として使用し、陰影のある表情をつくっています。
(準耐火建築物ですので、杉板の下には石膏ボードと板金を張っています。)

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東側道路からの様 子。既存の石垣・蜜柑・梅の木を生かしつつ、
通りすがりの人の目を楽しませるように庭をつくっています。
植栽工事は長年お世話になっている宝塚の尾崎春蒼園さん。
アジサイが咲く梅雨時期の様子が楽しみです。

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北側玄関から南の庭へ続く土間は鉄平石を貼っています。
八角柱は沢田欣也さんに漆を塗っていただきました。
階段板は(ア)35mmのヒメコマツ。

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地盤改良時に出てきたたくさんの石を活用し、綺麗な庭ができました。

1階デッキや木塀は鳥取のサワラ板。デッキは土足で使用する予定でしたが、
無節の綺麗な材を見て、上足のデッキとなりました。
透明の庇(カーボグラス)は、サロンまで太陽の光を届けてくれます。

 
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南庭からの外観は3層になっている事がよく分かります。
格子網戸や庇・バルコニー・そとん壁・下見板張り・デッキ等、様々な素材と要素が迫力ある外観をつくっています。

写真手前に見えているのは、2畳程の田圃と1畳程の畑。
都会の中に稲穂が広がる予定です。
また田圃の下にはベントフィックスという特殊なシートを敷いて、水溜ができるようにしています。

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1階は主にサロンと和室。
近所の方々が集まり、読書やワークショップ等を行う事ができる空間です。
燃えしろ設計をした太い骨組が迫力ある空間をつくっています。
天井(2階床)はJパネルを用いた準耐火構造(45分)の仕様としています。

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開放的なサロンですが、冬は小さな空間で間仕切る事ができるよう、ポリカ入りの建具を用意しています。

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サロンとは対象的な和室。床柱以外の柱は石膏ボードで覆い、珪藻土で仕上げています。
天井高を低く抑え、サクラの床の間や柿渋紙を貼った天井で落ち着いた雰囲気にしています。

FIXガラスのピクチャーウィンドウにはお寺さんの借景を活かしながら小さな庭がつくられています。

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2階はリビングや寝室・水廻り等があり、生活の中心となります。
写真はリビングからキッチン側を見た様子。
収納に使用している建具は日本の農家によく見られる舞良戸を現代風にアレンジしています。

建具の框材や舞良戸で使用している杉パネル(ア)12mmはいつもお世話になっている白鳥林工さん(http://www.shirotori-rinko.or.jp/)から購入しています。

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左写真は室内干しができるサンルーム。庭を眺めながら寛ぐスペースにもなりそうです。

右写真は3階のホール。屋根の垂木幅は120mm、Jパネルを現しにしています。

K邸の暖房機器は薪ストーブとエアコン。
太陽熱温水器はもちろん、太陽光発電設備やLEAF to Home(電気自動車に蓄えている電気を家で使う事ができる機械)も導入しています。
環境意識の高い住まい手さん。
機械設備と格子網戸や簾・ブラインド・風抜き窓等の建築的な要素を上手に活用しながら、たのしく省エネな生活を送っていただけそうな予感がします。

防火的に厳しい市街地の中での計画となりましたが、
ゆっくり燃えるという木の特性を生かした、農家的な木の住まいが完成しました。

住まい手さんに電気使用料や室内環境等を伺いながら、今後の暮らしにも耳を傾けていきたいと思います。

スタッフ 佐治