2013年07月アーカイブ

豊中のM邸-木配り 2013年07月31日

蝉の大合唱のお蔭で(?)目覚まし時計がいらない毎日ですが、そろそろコーラス程度にして欲しいところです。そう思っていても、階段で頑張って羽化する蝉にエールを送りたくなるのは儚い蝉を思うからでしょうか。。。

先日材料検査の様子をお伝えした豊中のM邸も基礎工事がはじまりました。配筋検査を行い鉄筋の径やピッチ、かぶり厚さ、定着長さを確認して今週にはコンクリートを打つ予定です。

基礎工事と平行して構造材の打合せに松阪のコウヨウさんに行ってきました。午前中は頭を使ったプレカットの打合せ、お昼ご飯に焼き肉でエネルギー補給して、いざ午後から「木配り」のスタートです。写真は一部です。全ての材料を一度に広げることができないので、いくつかのブロックに分けて見ていきます。

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通常モルダー掛けをした状態で木配りを行うのですが、今回は機械の不調があり荒木での木配りとなりました。これを機に新たに機械を導入するとのことです。ということは、M邸の構造材は新しい機械の第一陣となります!(※荒木とは仕上げ寸法よりも少し大きめの材の状態で、この荒木にモルダー掛けを行うと木の表情が変わってきます。)DSC00823

120×270の6.7M!の梁をひろげるのも一苦労です。でも広げないことには木1本1本の表情が確認できないので避けられない作業です。さすがに6M越えのものは大工さんと監督さんにお任せしました。ここまで6M越えの材が並ぶと圧巻です。

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写真中央の三澤が持っている「板図」には伏図の下にうっすらと平面図が書かれています。何本もある中から、どの材をどこに使用しているか、棟梁と話しているとことです。使用場所が決まると、、、

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梁に書いていきます。文字通り「番付け」です。定位置が決まった材は再び一か所にかためて、、、

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ここまでまとめておくと、工場長の山本さんにリフトで運んでもらえます。こんな機械がなかった昔の人は全て人力だったわけですから本当に頭が上がりません。

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続いて柱材も番付けしました。実はM邸の柱はMさんのご要望もありヒノキを使用していますが、部分的にクリの柱も使用しています。このクリ柱は名栗加工でMs日記でもよく登場する橘商店さんに段取りしてもらいました。ちょうど三澤が番付けをしているところです。写真右下にちらっと写っているのが板図です。番付けした材には黒いチョークで塗りつぶしていくので木配り終了後には真っ黒です。 ヒノキの柱材の番付けが終わり、ヒグラシのBGMのもと大阪へ戻ってきました。朝には活気ある蝉で鼓舞され、夕方にはヒグラシの音色に癒される夏の日々です。

M邸は8月お盆明けに上棟予定です。杉、ヒノキ、クリの架構の共演が楽しみです。また現場状況ご報告させて頂きます。

(スタッフ:平賀)

芦屋・翠ヶ丘の家 改装工事③ 2013年07月29日

先日より紹介しています芦屋の家の改装工事、続きです。(これで最後です)

この住まい、西側境界の塀の代わりに格子を立てています。格子は杉材を白く塗装したものです。

 

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風雨にさらされる部分です。格子材の上部は問題ありませんでしたが、足元が腐って、ビスが抜けた状態になっていました。ビスも劣化して折れていたものもありました。

 

1.外部(格子・ビス腐り)

この格子、140本ありますので全て新しいものに取り換えるのは非常に手間もコストもかかります。そこで、今回腐った格子材の足元のみを全てカットし、水に強く腐りにくいイペ材を土台に入れました。

 

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イペ材は非常に硬い木です。加工するのにも大工さんは苦労されていましたが、がっちりと固定することができました。杉の格子も地面から10㎝ほど高い位置になり、腐りにくい状況に改善しました。

 


次は玄関までのアプローチです。

既存のアプローチは島根県産の福光石を張ったものです。福光石とは青緑色の凝灰岩で石としては軟らかい素材です。

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アプローチも日々の使用で摩耗し、目地を設けた部分が欠けているものがありました。

 

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ほかの素材で舗装し直すことも検討しましたが、新しい福光石を貼り直すことにしました。また欠けることのないようにスリットを設けずに突きつけて施工しました。青緑の福光石、きれいで歩きやすい素材です。

 


最後に室内のフローリングの再塗装です。

芦屋の家のフローリングはカラマツです。新築時から12年、日焼けで変色し、日々の生活の中で摩耗した部分は白くなっていました。この機会に表面をサンドペーパーで削り、再度塗装をかけることにしました。

 

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大工さんが木粉まみれになりながら、しっかりとサンドペーパーで削ったところ、新品同様のカラマツの素地が現れました。その上に蜜蝋ワックスを塗装。住みながらの施工ですので、においの少ない蜜蝋ワックスを選択しました。

 

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グレー色になっていた唐松が見違えるほどきれいになりました。想像以上の効果でした。足触りもさらりと気持ちいいです。家具の移動や養生などに住まい手さんも苦労しましたが、この機会に再塗装できたことは大成功でした。

 

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 住まい手さんが日々の生活の中で思案を積み重ねた内容を思い切って実行した今回の工事です。住まい手さんにとっても、住みながらの工事はストレスが大きかったと思いますが、リニューアルした姿に喜んでいただけました。手入れした住宅のこれからの経年変化も楽しみなところです。

(スタッフ 田尻)

芦屋・翠ヶ丘の家 改装工事② 2013年07月25日

先日紹介しました芦屋の家の改装工事の続きです。

竣工当時はご夫婦と2人のお子様の生活でしたが、お子様は独立し、夫婦2人での生活となりました。4人の生活から2人の生活へ。住まい方の変化を考慮して一部間取りを変更することにしました。

 

【●客間を寝室として改修】

 

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客間として使用していた2階の和室、来客も少なく、あまり使用していないということで、床の間部分に布団用の収納を追加して、寝室として利用することにしました。内装の紙も色が褪せてきましたので、明るい仕上げに一新することにしました。


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工事中の様子です。壁は下地のボードを撤去し、新たに石膏ボードを張りました。寝室になるということで、壁下地内に断熱材(パーフェクトバリア)を充填して断熱強化をしています。南向きの窓も大きめの引違窓を新しく設置しています。


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改修後の様子です。畳は既存のままですが、壁は珪藻土、天井・建具は韓紙でそれぞれ白く明るい仕上げとなりました。押入れを増やして布団も余裕で収納できます。新しく設置した窓から中庭のケヤキがきれいに見えます。窓の外側にはタモ材で布団干しをつくりました。とても使いやすいと好評です。


押入れの上部は照明が納まっています。夜は白い天井を利用して部屋全体を明るく照らします。

 

【●水廻りの改修】

2階にある水廻りをより使いやすく改修しました。元々は廊下の突き当たりに洗面脱衣室がありましたが、洗濯機を置いてあるユーティリティスペースを洗面や脱衣室も兼ねたスペースにしました。


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改修後の脱衣室兼ユーティリティスペースです。壁や棚やシンクなど、ほとんど既存利用の部屋ですが、浴室の入口を設け、床にはコルクタイルを貼りました。


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これは洗面台になる板です。センの一枚板をきれいに削り、石川県小松の沢幸漆店にて漆をコッテリと塗ったものです。住まい手さんの好みである漆器の風合いに合わせて塗っていただきました。


 

改修後の様子です。廊下や洗面スペースの床は杉板に漆を塗ったものです。洗面台は収納の扉が鏡になり、その上下に照明が納まっています。漆塗の洗面台は水をはじきますので汚れにくく、長くきれいに使っていただけます。



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廊下の突き当たりは既存の洗面台があった場所ですが、比較的視線が集まりやすいスペースでしたので、掛け軸も掛けられる飾り床としました。床板はクリ材をナグリ加工して拭き漆で仕上げたものです。光があたるとナグリ加工の陰影と漆の光沢が美しく現れます。

 

 

新しくつくりましたトイレの床も漆塗です。壁は赤味の杉板を張っています。手洗いの台はクリの板にベンガラ色の漆を塗ったものです。手洗い器のITOIボールにもよく合います。


●浴室の改修

既存の浴室は現場製作でタイル仕上げでした。よりお手入れしやすいものをということで、ハーフユニットバスに入れ替えることにしました。フルユニットバスも検討しましたが、上部の梁が干渉したり、既存開口部を利用したりするのが困難で、今回は採用しませんでした。

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浴室周りを解体してみると、12年前の構造体が現れました。壁の下地はJパネルです。2階の浴室ですが、防水はしっかり施されており、杉の構造体に水や湿気による影響はありませんでした。12年経っても変わらない性能に安心です。やはり構造体は頑丈に作るべきです。

 

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改修後の様子です。今回はお手入れのしやすさ重視にしたいということで、ハーフユニットバスを納めた上で、壁・天井はアイカ社のメラミン化粧板を張りました。目地が少なく、汚れにくい素材です。既存窓をそのまま利用できたのもハーフユニットバスならではです。

新築から12年。変化していく生活の中で、いかに暮らしやすい住まいにするかを住まい手さんは熟考されていました。その思いをかたちにした今回の改修です。既存の構造体をほとんど触らずに、水廻りの動線などを現在の生活に合わせました。

今回は室内の改装工事を紹介しました。もう少しありますので、引き続き次回にご紹介いたします。

(スタッフ 田尻)


MOKゼミ神戸8月のご案内 2013年07月23日

三澤氏の「林業の師匠」である和田善行さんをお迎えしての第2回MOKゼミ神戸の様子と、次回のご案内をさせていただきます。

日本の林業の現状から、科学的に解き明かす木の心地よさ、木の床雑巾がけの鉄則まで、樹と木について幅広くお話しいただきました。

ほんとうに木を、徳島の杉を愛していらっしゃる和田さんは、「林業家は、家づくりの1番バッターだ」とおっしゃったのが印象的です。

樹を伐って、出荷して終わりじゃダメ。自分の出した木材がどのように使われるのかまで見届けるとのこと。

大工や職人や住まい手さん、次のバッターにつないで最高のプレー(本当にいい木の家づくり)をするんだという気持ちで仕事をしていますとのお話でした。

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次回MOKゼミ神戸は8月31日(土)に開催いたします。

Ms建築設計事務所代表/三澤康彦が、Msの近作を例に「住まいのリノベーション」についてお話しさせていただきます。

リノベーションとは、性能や価値を高めるための大規模改修(再生)を意味する言葉です。

中古住宅の購入を考えている、マンションリフォームをしたいなど、ご興味がある方は多いのではないでしょうか。

気になる費用や工事の進め方、新築とはまた違う魅力をお伝えいたします。

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是非お気軽にご参加ください。

皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。

※受講には事前のお申し込みが必要です。

お問い合わせ、お申し込みは電話、またはメールにてお受けしております。

(TEL)06-6831-5917

(MAIL)info-ms@ms-a.com

三澤邸改修工事-ニスクボードを使って断熱改修 2013年07月18日

Ms日記でも何度もご紹介しています三澤の自邸。

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27年前に建てたこの家は、時間を経て美しくなる木の家を体感していただけるとてもいいモデルハウスなのですが

冬の早朝室温が5℃になるという弱点をあわせ持っていました。

年明け早々、三澤康彦氏が肺の病気にかかったこともあり、

一念発起、健やかに過ごせる快適な家へと断熱改修・構造補強等を行うことになったのです。

 

既存の住まいを断熱改修するにはコストや工期、与条件により様々な方法があります。

三澤邸では天井、外壁、開口部と大掛かりにメスをいれますが、

大きな吹抜けのあるリビングホールとゲストルームは天井に断熱材を張るにも足場が必要となり工事が大掛かりになります。

幸い日常の生活圏から外れていますので断熱範囲を区画分けし家の2/3ほどの面積を断熱改修する手法を選択しました。

断熱範囲を限定することでコスト、工期を抑える事もできます。

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写真手前は非断熱エリア、奥は床暖房のある断熱エリアです。

夫婦ふたりの生活になると必要な面積はそんなに大きくありません。

季節ごと快適な場所を変えて暮らしていく。

家の中でノマド(遊牧民)的に暮らすこともひとつの暮らし方の回答です。

【では具体的にどのような改修を行ったのか?】

2階天井はもともと勾配天井でしたが、梁上に天井を張り、新しく天井断熱を行いました。

断熱材はパーフェクトバリア(ア)100+100=200㎜

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写真左が改修前、右が断熱材充填中の写真。

白い綿のようなものがパーフェクトバリア。断熱性能は熱伝導率0.045W/m・kなのでグラスウール16kと同じくらいの断熱性能です。

しかしペットボトルを再生した断熱材なのでグラスウールと比較してずっと体に優しい建材です。

施工性もいいのでこのパーフェクトバリアと断熱性の高いフェノバボードの2種を適材適所使い分けMsの定番断熱材としています。

また、新しく小屋裏の体積が増えた分、妻面には換気口も忘れずに設置します。

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(↑換気口を開けているところ)

外壁はニスクボードという鋼板断熱サンドイッチパネルを既存壁の外壁側から張り足していきます。

以前改修した西宮のT邸でも使用したものです。(以前のMs日記はこちら

耐震性、防火性能をあわせ持つ優れた建材なのですが、施工は少し大変そうでした。

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鋼板部分を切るのに鉄粉が舞うためウィンドブレーカー+ゴーグルで肌と目を守らなければいけません。

暑い中、この格好での作業はかなり過酷。

現場の職人さんには本当に頭が下がります。

 

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既存外壁に下地桟を打ち、ニスクボードを張っていきます。

(ニスクボードは真壁の柱にのみ留めつけるので下地桟はその上から張る板金(小波板)の留めつけ下地となります。)

 

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耐力壁とする部分はCN90釘@50(たて)@100(横)で留めつけ。

 

その上から小波板板金を仕上げとして張りました。

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板金での仕上げは三澤邸が初めてのようでメーカーである日鉄住金鋼板さんも何度か現場に視察にいらしていました。

ニスクボードは直接左官仕上げを行う事もできますが、板金仕上げですとパテ処理などの下地処理が省けるので工期短縮に良いと思います。

 

この他にも開口部は木製建具をペアガラスにし、ハニカムサーモスクリーンを設置します。

これらの工事と完成形についてはまた次回ご報告します。

(スタッフ:西久保)