2011年09月アーカイブ

住まい手の山の木を使って建てる富士の住宅の打ち合わせに行ってきました! 2011年09月29日

ご自身の山の木で、住宅を建て替えようという計画があり、静岡県富士市に打ち合わせに行ってきました。

住まい手の敷地と木材を出した山は車で30分程度、その間に製材をしてくださる勝又林業・製材さんの工場があります。プレカットも工務店さんも富士市内でお願いする予定です。Ms+MSDでは建物を建てるときに木材の輸送に関する環境指標である「ウッドマイルズ」を計算しますが、たぶん歴代トップクラスで優秀な成績になるだろうと思われます。

打ち合わせは3回目。住宅の大体の部分が決まってきました。

そして、打ち合わせの後で、住まい手さんとともに製材して天然乾燥している材を見に行きました。構造材だけでなく、外壁板などもご自身の山の木を使います。Jパネルも作りかけていたくらいの勢いです。

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材の色目もきれいで、外壁に使おうとしていた板はきれいすぎるため、何か他の用途に使うことになりました。チップになりかけていた材もどこかに使うことになりました。

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住まい手の現在のお宅の小屋裏にも立派な松の梁があり、これも建て替える住宅の材料になりそうです。「材料を見て住宅を建てる」行為はまるで仕入れてきた材料で料理をつくるかのようです。

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打ち合わせの帰りに富士市と駿河湾を見下ろす絶景スポットを通りました。山と海が両方楽しめるのはいいですね。

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また、打ち合わせ日の翌朝には、「冬になったらきっとあの辺に見えるよ」と言われていた富士山をやっと見ることが出来ました。しかもその日は富士山初冠雪!冬が近づいたということでしょうか。

(スタッフ:中井)

北欧・フィンランドの旅 続編 2011年09月28日

9月初めのフィンランドはもう秋です。私達が滞在した中部の街ヨエンスーでは朝10℃を切る時もあるほどでした。

スタッフはそれぞれストックホルムに行ったり、お隣のロシア・サンクトペテルブルクにショートステイに行ったりで、北ヨーロッパの建築を勉強したりしています。

私と文子さんはヘルシンキの初秋の18世紀から19世紀の民家を訪ねてきました。フィンランドの民家は日本と同じ木の住まいですが、土壁の家はまるでありません。100%木材でできた住まいなのです。いわゆるログハウスです。

北国の北方系民族の住まい、冬はマイナス10℃以下になる地です。木材を厚く利用した木の構造です。

 

このように氷河で削り取られた岩盤の上に建つログハウスがあちこちに見受けられました。

 

かわいいツリーハウスです。これはお遊びで作ったものではありません。大切な穀物をネズミなどの小動物から守るために工夫してあるのです。穀物を取るときは、これにハシゴをかけて取り出します。

 

湖畔に建つ住まいです。岩盤ですから、岩の上に軽く浮いたような木の箱です。日本の住まいは柱と梁ですが、ここは木の壁の連続です。

 

18世紀から19世紀ですから、化石燃料の石炭・石油などはなく、木をくべて暖をとり、料理もできるキッチンストーブがどの民家にもあります。床は厚み10cmはあるだろうと思う、しっかりした木の版です。

 

木材を割り、釿(ちょうな)のようなもので仕上がった床のディティールです。

 

室内の個室のベッドスペースです。寒い国では室内といっても冬はマイナスになるため、ベッドもこんな厚地のカーテンをスクリーンにした日本でいう押入のようなベッドスペースが日常のようです。今でいう二段ベッドです。(かわいいです)

 

最後はなぜこんなにもフィンランドが三澤康彦が大好きな国の一つなのかをお話します。

 

 

どこの街のホテルにも100%サウナがあります。これがとても快適です。朝、夜と2回入っていました。

日本のサウナも北欧からやってきて、もともと日本人はお風呂好きなので定着しました。

私の日本での生活は朝3時に起き、4時頃から近くの(といっても12km離れています)公衆銭湯に行く生活が毎日です。

接合部の構造実験を行いました 2011年09月27日

岐阜県内の材木屋さんから接合部の構造実験の依頼があり、地震などで柱が引き抜かれる力に対し、どれくらい耐えられるかを実験しました。

建物の隅角部にある柱と内部にある柱を想定し、実験を行いました。

内部柱 破壊前

上の写真は内部柱タイプの仕様です。

下の写真は隅角部柱タイプの仕様です。

実際の建物では、隅角部の柱は内部柱よりも引き抜き力が強くかかるため、仕様を分けて実験を行いました。

隅角部柱 破壊前

実験はゆっくりと力を加えていき、最後、接合部が破壊するか、30mm以上柱が引き抜けるまで行います。

実験開始から終了まで、時間にして約30分、途中「パキパキ」、「カツカツ」など、木材が割れる音や、釘の引き抜けている音が聞こえてきました。

内部柱 破壊後 

上の写真は内部柱タイプの実験終了時の破壊状況の写真です。

下の写真は隅各部柱タイプの実験終了時の破壊状況の写真です。

隅角部柱 破壊後 

写真のように、破壊状況はどちらも「金物の変形」、「釘の引き抜け」、「土台の割れ」でした。

参考までに、土台と柱の接合部に金物を使用せず、「木は木で締める」という言葉のとおり、込み栓を用いた場合の耐力と、一般に市販されている金物(山形プレートやL型金物等)を用いた接合部の耐力では、仕様にもよりますが、込み栓のおよそ1.5倍から3倍程度あります。

実験のメリットは、実際の耐力が分かる事ももちろんですが、普段ではなかなか見られない壊れる様子を見ることができ、破壊して初めて分かる事や、接合部の改善点などに気づくことが出来るところにあるのではないでしょうか。

MSD美濃では、接合部の実験の他に、耐力壁や水平構面の実験も行うことができます。

こんな耐力壁や接合部を考えたから実験してみたい。という方は是非ご連絡下さい。

また、Ms日記にて実験の写真の公開等、快く承諾して下さいました担当の肥田様、誠にありがとうございました。

 

大山のパン屋さん。カフェスペース完成しました! 2011年09月20日

先日のMs日記でご紹介しました、鳥取県・大山のパン屋さん:「コウボパン小さじいち」。

カフェスペースの増築工事を進めておりましたが、このたび無事に竣工いたしました。

 

 

元々あったパン屋さん兼住宅の前に平屋の木の箱を建てました。これが小さじいちのカフェスペースです。パン屋さんからの眺望も損なわないように、高さを抑えた建物としています。

外装は母屋に合わせて赤味の杉を貼っています。少し時間の経った2階建ての母屋と、新しく生まれた平屋の増築。親子のように並んでいます。

 

 

室内はほぼJパネル仕上げです。室内外ともに木の箱。Jパネルのレングスはこの現場から30分程度の距離にあります。梁は鳥取県智頭町サカモトの「赤杉」。製材所が近く、材料の調達が非常に効率的でした。

ダイニングテーブルは松の一枚板。2.5Mの長さがあり、ゆったりと使えます。窓の下にもカウンターテーブルを設けていますので、10人以上座ることができます。

 

大山側に広い窓を設けています。大山がとてもきれいに見えます。柱や窓枠などはサワラです。三澤が米子木材市場で競り落とした丸太から製材した材料です。節も少なくとてもきれいな材が取れました。

 

カフェの南側にはウッドデッキを設けています。デッキ側の開口部は引き分け戸として、庇も約1.5M伸ばしています。室内外を一体として、多くの人が集まったときは広く利用できるようにしています。

 

お引渡しの後、Msスタッフで塗装作業を行いました。店主の西村さん親子にもお手伝いいただきました。ありがとうございました。お嬢さんの夏休みの思い出になれば嬉しいです。

 

デッキで記念撮影。建物はできましたが、これから駐車場の整備や石窯の設置などに少し時間がかかりまして、10月頃のオープンの予定です。(パン屋さんは営業中です)

 高原の空気の中、おいしいパンを気持ちよく食べることができるこの場所に、みなさまぜひお立ち寄りください。

 

スタッフ 田尻

京都・北山林業を廻るフィールドツアーに参加しました 2011年09月17日

京都造形芸術大学のミサワスタジオの方々、造形大の設計課題の想定施主の方々、MOKスクール、住宅医スクールの方々と共にフィールドツアーに参加させて頂きました。

参加者は、三澤文子さんを含め20名、バスツアーです。

 

まずは、京北森林組合・加工センター

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吹上参事の説明を聞き、保管施設を見学させて頂きました。

保管庫内には、立派な杉丸太がたくさん入っています。長いものは10m以上のものも。

すっとまっすぐ伸びた立派な北山杉に、林業家の方々が長い間手を掛けて育ててこられた意気込みと北山杉の伝統を感じます。

 

そして製材所

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この日は、製材機が動いていないため、すぐ近くで製材機を間近で見ながら解説をして頂きました。

この製材小屋は、北山杉のトラス構造になっています。

 

木工の加工場も見学させていただきました。

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ここでは、北山杉を活用した家具もつくっておられます。

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写真は、木製の小さなカンナ、ノコ、金づちのストラップ(キーホルダー)や、木の色見を利用した木製のオセロなど、とってもカワイイ木工品の写真です。

このストラップは、京都市内の百貨店で販売されているそうです。

 

乾燥小屋です。

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この乾燥小屋は、京都建築専門学校の佐野春仁氏と学生の方々で造られた小屋です。

この小屋ももちろん北山杉で作られています。

 

そしてバスで移動して、北山杉の里総合センターへ。

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写真の左の建物が北山杉の里総合センター。奥に見える山が、北山杉の山です。

総合センター内には、様々な床柱を展示しています。

右の3本、台の上に乗っている材は、総合センターの床柱たちです。その日の気分で床柱を交換できる嗜好がこらされているそうです。

 

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北山林業の施業の様子をビデオで学習し、松本理事のお話を伺いました。

北山林業は室町時代から続く600年の歴史を持つ林業で、京都を中心とした数寄屋づくりを支えてきました。

北山丸太には、磨丸太、人造絞丸太、天然出絞丸太、面皮丸太、北山タルキがあります。

人造絞丸太は、絞のない杉に絞用の細い棒を巻き付けて2~3年育てて絞の模様を出します。この絞模様も、職人さんによって模様の違いが出るそうです。

北山杉の里総合センターにある中で高価な材を見せて頂きました。(40~50万円/本)

北山杉の価格は、美しい材はもちろん、珍しいものほど高額になるそうです。中には100万円/本以上のものも。

 

バスの移動中、北山タルキを育てている山に寄りました。

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北山タルキは、株を残して育てます。

株からすっと伸びた細い幹が北山タルキになります。

台杉の林立する様子は、とても美しく独特の風景を作っていました。

 

京都造形大学の学生さんは、この北山杉を活用して設計課題に取り組みます。

課題は、6棟のコーポラティブハウスです。

どのような活用方法があるか、みなさんと色々なアイデアを出して進めていきたいと思います。

(スタッフ 葉賀)